ライター・森川洋
築170年。国内最大級の内陸直下型地震、濃尾地震にも耐えた民家が、震源域の岐阜県本巣市にある。幾多の風雪を乗り越えた古民家は、管理しきれなくなった元庄屋の家主に代わり、小さな子ども3人を育てる家族に引き継がれた。
本巣市早野(旧糸貫町)。岐阜市の西、特産の富有柿の果樹園が広がるなか、その古民家は一頭地を抜く存在感を放つ。土塀と蔵のある敷地は、約2千平方メートル。大きな切り妻屋根の母屋は1、2階合わせて約360平方メートルもある。
この家に残る和とじの「居宅仕様帳」には、建てられたのは「嘉永五年十二月吉日」と墨書されている。西暦1852年。ペリー来航の前年だ。基本的な間取りは居宅仕様帳と変わっておらず、修理の記録もない。
10年ほど前、本巣市教育委…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル